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上限では無く下限こそが着目されるべきなのであろう

2020.01.30 (Thu)
2019年も優良なホペイを産出することができました。

そうして、時が経つのは早いもので、
もう2020年となりました、
GXの誕生から5年が経過しました。

5年間インラインを続けていればという気持ちが無いと言えば嘘になります。
しかし、現在我が家には、GX50、GX48A、K+350のインラインはありません。

進化し続けないものは滅びるという理論に則り、
血の改良を2015年以降も継続、2016年からそれを加速させ、
2017年、2018年、2019年と期待に合うホペイを生み出すことが、
できたかなぁ、そう思います。その中で様々な葛藤こそあったものの。

それでも、2015年に誕生した3つの核のラインを、
インラインでやっていたとしたら、という”たら・れば”は未だに想います。
が、それは塞翁が馬というところなのでしょう。

何故なら、アウト交配や系統分離交配で、
失敗のリスクもあるブリードを続け、心眼を磨いたおかげで、
原点に回帰するように、インラインの重要性の理解を深める
ことができたからです。

2018年は、そういうインラインに踏み込み、
2019年に羽化した個体は、ということで、
これまでに我が家にあったインラインとは違った意味の、
インラインブリードになったと感じます。
そういうことで、良い虫が出せたな、そう思います。

良い血を良く濃くできた、というのが、
より的確な表現なのかもしれません。

最近思うのは、ホペイブリードについては、
今後以下の4点を大切にしていきたいという気持ちです。

①作品ではなく、素材を練る
②多様な発現を引き続き羽化させる
③作品だけではなく、生育過程能力のスペックを上げる
④自分の好みに正直でいる


ホペイという虫を私が特段愛しているのは、
その個体差の豊かさが背景です。

ストレートな顎のもの、
湾曲顎のもの、
太いもの、
重なりが良いもの、

頭がデカいもの、
ケツが締まったもの、
胸部がかっこいいもの、
重厚感があるもの、
艶消し、
ツヤ有、
厳つい、
美しい、
厚い、
洗練されている
・・・・・・

どれもありなのが、ホペイだと思います。

が、
一番ホペイで素敵だなと思うのは、
『自分が掲げた目標的形状を超えた、
 自分の期待以上に自分の期待に添う、
 予想を裏切る個体が登場すること』

だと思っています。

上の4点以外にも多くを思って考えています。
4つ以外にも大切にしたいことは400項目くらいあります。
ただ、このブログを書くにあたって、
十分な時間を持ち思考し悩み、
最終的に残ったのが、上の4つであるということです。
そして、それらは総じてうまいこと繋がっているのです。

①作品ではなく、素材を練る
今年も、GXを用いた交配において、
良い結果が出ていることを、そろそろ連絡頂いています。
一番嬉しいのは、わが子をお送りした先で、
愛される虫が誕生していることです。
次に嬉しいのは、これこそが自己満足なのですが、
私が●●-●●系統に期待し、結果として得た系統の強み、
例えば頭長が出るだとか、顎やせが少ないだとか、
そういう血の個性がきちんと発現したことを報告いただいていることです。

一般的には私の得意とする交配はアウト交配と表現でき、
従って純粋インラインでない限り永久に表記はルールに準じて、
CB・CBF1となるのですが、
我が家のブリードの背景を知っているごく一部のブリーダーからは、
我が家のブリードはアウトという名の遠回りな純血主義交配であり、
血は年々濃くなっている・・・・という表現をされます。

狙った形状が出ると、
どう嬉しいかというと、手に取って嬉しいし幸せです。
満足感を感じます。
が、常に抱く不安は、栄枯盛衰、血の衰退です。
私は、ホペイが流行したころから系統分離・アウト交配を
積極的に行ってきましたが、
その背景には、
今は隆盛を誇る●●血統も、もうすぐF●になるから、
そのうち衰退をしてしまうだろう。
この今の素敵な発現がいつか薄れ自然消滅をする、
それは避けたい、という虚無感を恐れる気持ちがありました。

従って、まずは永続性のある血を作ろうとしました。
次に、そうやってアウトを組み合わせると外すことが有るので、
アウト適性の高い血を作ることを考えました。
そういうことがスタートラインでしたから、その後血に求めるものは、
次第に多く重くなっていきました。
その結果、当然全てを有した血は作れませんから、
大好きだったTP:Eの面影をしっかり残しながら、
複数のタイプを用意する必要がありました。
その結果が、GX50、GX48、K+350の3つに分かれたということです。

それぞれに、求めた血の特徴があります。
それは、不全回避能力であったり、顎痩せの少なさであったり、
幅広い温度帯で育てることや、餌をあまり選ばないことだったり
するのですが、それこそに安心感と充足感を感じます。


②多様な発現を引き続き羽化させる
これを、今後も継続していかなければなりません。
場当たり的にアウト交配をするのではなく、
血の個性の強みをきちんと維持、ブラッシュアップしていく必要があると感じます。
そこで、多様な発現を見ておく重要性を強く感じています。

なぜ、そのような形になったのか、
その発現はまぐれなのか必然なのか、
この顎とこの顎の相性は、
この頭とこの胸の相性は、
このシルエットとこの腹部の相性は、
という形状上の相性を更に正確に把握しなければ、
今後のレベルアップが難しくなってくると感じています。

形状の多様性だけでは無く、
食いの癖や、食の幅も、
見ていく必要があると思います。

スペックアップの個性はどこでどう発現しやすいか、
狙った系統個性はきちんと引き継がれているのか、
そういうことも、インラインだけでは見られません。
2015年に1度狙いに王手を刺し、
2018年にまた狙いに王手を刺しました。
次の狙いに王手をかけるのは2020年の交配です。
どのような個体を羽化させたかではなく、
どのように羽化させたかを大切にするためには、
多様性を経験していなければ判断が鈍ると考えています。


③作品だけではなく、生育過程能力のスペックを上げる
さて、ここまでの内容をまとめると、
羽化個体という作品・ないしは結果よりも、
その羽化個体に至った過程に根拠を求め探している、
というのが現在の思考です。
そして、あわよくば、成功の根拠が欲しい、
そういう成功の根拠を実績として纏った血を作っていかねば、
それが常に考えていることです。

そのために、私は”言語化”を常に意識しており、
例えば、「この虫頭すげぇな、しかし数値は意外にそうでもない”
なんていう虫がいたとして、まあいるんですが、
では何故そう見えるのかを、
考えるのか、或は、
うわースゲー頭デケー、で終わるのかは、
相当にその先の明暗を分けていくと思うからです。

例えば例に挙げた個体については、
頭幅ではなく、頭面積が広く、
その頭面積を、眼上突起、頭楯のふくらみ、
複眼突起・眼下突起の膨らみが大きく、
複眼が離れたように見えることにより、
頭が扁平に広がって見えるから、
頭がデカいと感じられる。

このように現在は言語化しており、
まだ言語化の深化に努力をしています。

実は、私はホペイを見た際に”虫”本体よりも、
心の中で食いついていることがあり・・・・
それは、飼育者の”表現”なのですが、
自分の持っていない”形容”をされると、
ははぁ、そういう掘り下げ方があるのか、
と、ホペイの血の開拓の余地を感じ、
ワクワクするのです。

従って、ここで言う”生育過程”とは、
何度でどのような餌を食わされて、
何グラムまで育ってこの虫が誕生したのか、
ということではありません。

飼育者が何を狙って、
そのためにどのような交配を考え、
どのような管理をして成虫まで仕上げたか、
という個体選別以前の思考の部分からを指しているのですが、
それを飼育者に命運を委ねる虫の立場に則って、
生育過程と表現しているということになります。




④自分の好みに正直でいる
先述した「飼育者」とは、無論私自身のことも含めます。
いや、自己満足日記ですからね・・・・
自分自身のことが9割なのだとは思いますが。

少し話題を転じて、
されどこのテーマについて言及していきます。

GXが相性の良さを発揮する血が今まで以上に分かってきました。

これまでは、極太ものや、幅広ものとは相性が良く、
スペックアップを行い、健全性を上げるという表現でしたが、
どうやらより正しく表現するなら、
「濃い血」と相性が良い、ということになります。

F12だったら相性がいいですか?
そういうことでもありません。
我が家の虫の表記は殆どがCBです。
それでも、先に述べた通り血は濃いと考えています。

どれだけ、その個体に至るまでに、
飼育者に一貫した狙いがあったのかが重要であり、
累代表記が浅くても、ずっと●●なホペイを狙ってきました、
そういう血とは相性が良いです。

F●の絶対値の大きな血であっても、
ある時は~な形を狙い、途中で浮気して・・・な形を狙い、
今度は◆◆を狙ってみた、そうして、気づけばF10になっていた、
そういう血とはあまり相性が良くない場合があり、
相手方の血の性質を起爆させる性質上、
色々中途半端なものが出てしまうという結果になることがあるかと感じます。

従って、こういうことを鑑みると、
やはり、自身の血の発現において、
譲れない美観については、
常に一貫して維持しなければなりませんし、
これこそが最も大切なことであると感じています。


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ホペイという虫を私が特段愛しているのは、
その個体差の豊かさが背景です。

ここまでくると、冒頭のこちらと矛盾が生じるように見えますが、
そうでもありません。
私は、ホペイについて、こうでなければならないという感覚は、
薄くしか持っていません。
顎だけで語るなら、
湾曲も素敵だし、ストレートも素敵、
はみ出し湾曲も欲しいし、円弧も欲しい、
スーパーストレートもいいし、
優美に倒れた内歯も素敵、
ぶっ飛び立ち上がり内歯も素敵。

ただし、頭がデカいと感じる事と、
禍々しい威圧感をまとっていること、つまり、TP:Eの雰囲気、

これだけ抽象的なままに留めているのですが、
※永遠の憧れにしておきたいので
 憧れは理解とかけ離れた感情のようですから、
 であれば、TP:Eの魅力は自分が、
 一番理解していない、理論化できていない状態でありたい

これが無くなってはやっていけません。。

ちょっと順昌が放置されましたが、
76系のテイスト、これも無くなってしまっては困る。

だから、これをしっかり一貫させ、
発現させ続けることにより・・・・・・


頭がデカいと感じられ、
禍々しい威圧感をまとっている・・・・・・・・

⇒超ストレートホペイ
⇒超湾曲ホペイ
⇒超短歯個体
⇒コロンと可愛い個体
⇒特大モンスター
⇒顎のお化け
⇒超美麗個体


を作りたい訳です。








だから、自身の好みは絶対に曲げてはならず、
ここの軸をずらしてしまうと・・・・・

⇒超ストレート
・超湾曲
・超短歯
・コロンと可愛い
・特大モンスター
・顎のお化け
・超美麗

⇒だけど、全然好みじゃない虫

となってしまい、
嬉しい結果とは言えない結果を得てしまうことになるのだろうなと思います。










一番ホペイで素敵だなと思うのは、
『自分が掲げた目標的形状を超えた、
 自分の期待以上に自分の期待に添う、
 予想を裏切る個体が登場すること』

だと思っています。

そのために、場当たり的に出た突出した虫ではなく、
選別背景や、生育背景に一貫性があり、
ある方向に焦点を絞りとがらせた虫を作っていかなければ、
と思うのです。


そして、
このために、自身のホペイの雰囲気の核を更に濃縮する目的を持った、
2018年度交配・2019年度羽化の、
スペックダウンを覚悟した守りの交配があったのです。




その核である幹から、
色々な発現を枝葉として派生させ、
中長期的にホペイを楽しんでいきたいなぁ、
というのが2020年の遅すぎる豊富です。


では、この新しく掲げた抱負を実現させるために、
昨年から何を仕込み、何を新たな注力ポイントとしていくのかというと、

系統の下限を見る

ということです。
根拠のある成功を得るためには、
根拠のあるデータを得ることが大切だと思います。

そして、根拠は失敗にこそあるため、
この5年はへんてこりんな失敗はしてはいませんが、
各ラインの下限をしっかりと見て、
そこに隠されたヒントを発掘していくことで、
理由を伴う情報をより多く得て、
次の交配に活かしていきたい、そう思っています。

どうしても、各ラインの上限の虫に目が行きます。
上限の虫を眺めるのは楽しく、
下限の虫が羽化した時は少しテンションが下がります。
しかし、この下限を大切にすることこそ、
ホペイの血の深化と、
自己満足できる個体という、
差別化した個体の産出につながるのではないか、
と思っています。








今日は、小春日和というか、春でした。
今年は暖冬です。
我が家のホペイ群の答え合わせは、
早くて4月、5月位には始まると思います。

ブログは更新が暫く途絶えていましたが、
ホペイに対する熱量は全く低下しておりません。
過去最多の400頭を、現状管理し切ってます。

この1月、2月は、
現在注力しているカタツムリ食のオサムシの研究と、
繁殖に忙しいので、またしばらく更新まで間が空くとは思いますが、
面白い報告と、飼育考察が出来るよう、
引き続い精進していくことを、
ここに”ホペイフリークの自己満足”の範疇で宣誓し、
今夜はこの記事を締めたいと思います。

長文をもし読んでくださった方がいらっしゃれば、
画像も無い駄文にお付き合いくださったことに、
心から感謝申し上げます。



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