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2018年度段階採卵法 完成

2018.08.06 (Mon)
2018年今年度段階の採卵法を事細かく書いてみようと思います。
このところ毎日帰宅するなり浴室に直行、寝室に直行、何とか睡眠時間を確保、
とりあえずは採卵法を早めに書こうと思った次第です。

現在の採卵法を記録するにあたり、まずは私の採卵経験の背景から追っていかねばらないと思います。
まず、私の最初のクワガタ飼育の感想は、”採卵難しい”でした。
以前にも言及したことが有りますが、私は飼育はオオクワガタからスタートしていますが、
幼虫を2頭3頭高額で購入して大切に育てるというスタンスであり、
当時高額であったオオクワガタのペアを買うなんていうことは到底できませんでした。
オオクワガタの幼虫を数頭購入して発酵マットで大切に育て、
♂が羽化したらいいな、そういう飼育でした。

その後もちろんブリードの道に足を踏み入れていくわけですが、
最初のスタートはヒラタクワガタでした。形や、サイズという概念があまり強くない頃であり、
特に形については飼育者の意識がほぼ向いていない頃であったため、もっぱら興味はデカさでした。
相対的な大きさについてもあまり言及されていなかったので、
自然とそもそものサイズが大きなヒラタクワガタに手を伸ばすことになりました。
最初の飼育種は、アルキデスヒラタでした。このアルキデスヒラタで頑張ってセットを組み、
2頭の卵を回収、2頭を腐らせました(爆)

つまり、今でも記憶に鮮明ですが、ブリード初年度は、
飼育が優しい種にしてゼロという凄惨な結果を迎えることになりました。

次に飼育したのはダイオウヒラタでしたが、
これも採卵が出来ず終了となりました。
発酵マットに材を埋め込むという極めてオーソドックスなスタイルでしたが、
ゼロ頭という、「のびた君って毎回0点取っているけど、それの方が難しくないか?」
という感覚を覚えるほどに採卵についてはダメダメでした。

いじくりまわしていたのが一番ダメだったのでしょう。
毎日材を転がして確認しまくっていました。こういうスタートを切っているものですから、
じゃぁオオクワガタを育てようとなっても、オーソドックスなセットでは全く採れる気がしません。
採れる気持ちが持てない、採れる様子が想像できない、自分は採卵がド級のへたくそである、
というのがおよそブリードと言われるものに足を突っ込もうとした頃の自身に対しての印象でした。

ですから、卵が見えないと全く安心できない。
まだ菌糸瓶採卵という概念が巷には情報として無いころから、
オオクワガタのメスを、瓶の半分まで菌糸瓶の中身を詰めたものに突っ込み、
これで産ませていました。卵も確認できるなり直ぐに回収し、
1♀から5頭程の採卵を行っておりました。
だって、材を転がしたセットなんて産みそうに無いじゃん、というのが私の採卵スタートでした。

ボトルに産ませることについては、そこそこの結果が得られたため、
暫くはこういう採卵を行いました。ダイオウヒラタについても、
でかいPPボトルに1本材を縦に入れ、その周りを発酵マットで固め、
ボトル1本から30頭弱をかいしゅうできるところまで行きました。
そこそこ数は採っているけれど、
実は材に産ませたことが無い・・・・・というへんてこりんなブリードをしていました。

そういう我流であってもそれなりに数が採れるようになってきて、
その頃にようやくホペイに手を出しました。
最初のホペイは江西省建寧のもので、
これは、小ケースに菌糸瓶の中身を半分ほど入れ、
そこに割った材を混ぜ込み固めたものに産ませるというこれまた変な採卵法でした。

現在は、これに近いものが「ズボラセット」という名前で売られていたりしますね。
それでも、10頭程度は採れました。
数年間、“まとも”なセットで産ませなかったことになります。
これに対し、何をやっているんだという言葉を貰い、
ようやく普通のセットをすることになります。順昌や、TP:Eに手を出した瞬間の頃です。

そこから、セットをとりあえず無理やり信用し、
小ケースに材を1本転がし、確認のサイクルをそれでも早めるというセットを組んでいました。
材は教科書通りに半日加水し、マットは黒化した発酵マットを使用、
メスが材を削って出たおが粉が分かりやすい・・・・・
とにかく、安心できる、確認できる、見てわかるというセットを組んでいました。
1週間くらいでセットをローテーションしてドンドンセットを変えていくという組み方をしていました。
ローテーションのお陰でそこそこ数が採れるようになりましたし、
材へ産ませることについても1回上手くいけばちゃんと産むものだと頷けるようにもなりました。
さて、ここまで長かったですが、
私はそういうことで、採卵ドへたくそという自覚からブリードを開始しており、
採卵についての不安についてはぬぐい切ることがないまま何年も過ごしました。
また、いつまで経っても、均一な形をした材にメスが卵をやたら産むことについては、
違和感を感じ続けていました。

転機が訪れたのは、あるTP:Eのペアを組んだ時のことでした。
このマットで、こういう風に加湿してやってみなというアドバイスをもらいやってみたのですが、
それが当時の私にとってはヒドイセットでした。

ただのほだ木を砕いただけの、加水すらされていないマットに、
半日加水した材を加湿後すぐに皮を剝き投入するというセットでした。
セット後、3日でマット自体が緑にカビ、こりゃぁ酷いものだとがっくりしました。
それでも、数を採る人からもらったアドバイスなので、
アドバイス通り2週間はそのままにし、絶対にダメになったセットであると放置しました。
ある日見てみると、セットの側面に幼虫が見られたため、
まぁ割ってみようかと産みを確認してみました。そうすると、
そのセットからはなんと40頭を超える幼虫が得られました。
驚愕でした。
これについては、現在の採卵法の基盤となっているため、後述します。

しかし、当時は、やはりそのセットについては最初からアオカビの猛攻を受けたこともあり、
2度やってみたいとは思いませんでしたし、採れたのもまぐれであろうと思っていました。
が、その後色々ブリードをするうちに、
あれ?水分量こういう感じがいいのかな?
こういうマットの方がいいのかな?材はこういうのがいいんじゃないかな?
そういう結果論を得るたびに、その頃のセットに通ずるものを感じてくるようになりました。
そうして、であれば、もう一度そのようなセットを組み、
そこにここまでで得たノウハウも交えてみようと組んでいるのがこの数年のセットです。

採卵についても、色々なことを考え紆余曲折しながら現在の方法に至りました。
とりあえず、やってみたから上手くいったとは思っておらず、
記録もとってきたため、この方法は一定当たっているとも感じています。
材も、2012年頃までは、太物と呼ばれる高額な材を使っていましたし、
材をレンジでチンしたり様々やりました。
これまでにやってきたことでブログの1つを思い切り埋められそうです。
が、今回の記録の趣旨からは外れてしまうので、そこは割愛しようと思います。
とりあえず、色々、やってみたことはやってみた、ということでした。

さて、
我が家のセット法の記録を始めたいと思います。

しかし、その前に必ず触れておきたいと感じていることが有ります。
これを抜きにして、採卵は上手くいかないという気持ちがあります。
それは、メスの管理です。

マイマイカブリの飼育において、交配したら即産むというものではなく
、体内で卵を作ったりする期間が一定必要なものであり、
それは栄養を摂取させたところから始まるという感覚を学びました。
繁殖に初めて挑戦した際は、兎に角産まず、
床材等をひたすら工夫し模索しました。しかし、上手くいかず、
解決をしてくれたのは工夫ではなく時間と給餌でした。
カタツムリを与え続けていためすは、いざ産むとなるとどこでもいつでも産む印象でした。
ハナムグリの飼育についても、最初は全くマットにもぐらず、餌に抱き着いたまま・・・・・
産む気がしませんでしたが、適切に餌を食わせ、休養させ、
メスがほぼ餌に興味関心を示さなくなった頃にもう一度採卵行動に移すと
多くの子どもが得られるという感覚を得ました。従って、ホペイのメスについても産ませるまでの
準備が実は非常に重要であるということを感じています。

毎年、材については凄く沢山の質問を頂きますが・・・
私は、材1に対し、メス9だと考えており、材は毎年適当です。
採集してきたクワガタ・カブトで産むモードに入っているものは
何にでも・どこにでも産もうとします。
ホペイについても、そういうメスを作らなければ、
爆産はまぐれでしかないという感覚が他種を育てたことで得られました。

そのメスの管理も含め、採卵の手順を書いてみようと思います。

【2018年度採卵法-メスの管理】
1. 新成虫のメスには羽化後2週間から餌を与える
2. 新成虫のメスへの餌やりは、産卵中のメスへのエサやりよりも気を付ける
3. 9月になるまで、マットを交換しながら餌を与え続ける
4. この期間の餌は高タンパクゼリーにする
5. 11月まで餌を与え続け、12月には休眠させるようにする
※屋外で虫が見られなくなってからは、高タンパクではないゼリーに切り替える
6. 食い始めが早かった♀と、休眠が早かった♀は産む能力が高いメスとしてメモをする
7. 4月にメスを起こし、餌を投入し続ける
8. 5月のゴールデンウィークまでは餌を与え続ける
9. 5月の中旬~下旬に交配を行う
※冬眠から目覚めて1ヶ月以上餌を食わせてから交配をさせる
10. 6月の頭に採卵セットに投入できるようにする
11. 交配中は、高タンパクゼリーと黒糖ゼリーを与えるようにする
12. 1週間程度同居させ、採卵セットに投入する
13.採卵中は高タンパクゼリーを与えない


メスには、従って休眠期間と、メス単独飼育にて餌を食わせる期間を、
大変長く設けるようにしています。
また、このようにして休眠・給餌を与えていないメスについては、
如何に期待が大きく早く取りたい気持ちがあっても、交配・産卵はさせないようにしています。

メスは、適切に休眠・給餌を行うと、交尾を迅速に行う印象があるように感じます。
我が家の良く産むメスは、後付け論ではありますが、
1日でオスととなり合わせで餌皿の下に寝ていることが殆どでした。
逃げ回ったり、メスが交配セットの隅に埋まっている(笑)
なんていうメスからまともに採れた印象がありません。

更に、メスの交配解除についても、
様子を観察しながら自然に合わせ行うようにしています。
恐らく・・・・これは推測でしかありませんが・・・・
屋外においては、樹洞の中で暫くオスと過ごし・・・・
その後産卵をしようと思ったメスは樹洞から一人で出てきているはずです。
エサ皿を転がした交配セットにペアで入れておくと、
ある時を境にメスが徘徊をするようになることが観察できます。
この瞬間、私は”しめしめ”と思いメスを取り出し、
採卵セットに間髪入れず投入するようにしています。

自然のものですから、旬が命
であり、メスの旬を作るように管理し、
交配後のメスの産卵意欲が旬にあるうちに産卵セットに投入する
・・・・最も自然でベストな管理を行い、
最も適切なタイミングで適切な場所へ移すということが
私の採卵の感覚の根底にあるように思います。

さて、ここから本題の採卵セットについて記録をしていきたいと思います。
先に書きましたが、まず採卵セットに対して最初に抱いた疑問は、
「こんな丸太っぽいものに、自然界のクワガタは産卵をしているのか?」ということでした。
もっと、崩れたような、ボロボロしたところに潜り込んで、
材質の良いところに産んでいるのではないかということを考えました。
さて、そう考えてみると、先述した爆産したセットの取り方は腑に落ちるところがありました。
どういうことかというと、材に産ませるのではなく、
ケースそのものが大きな材の塊になったかのようなセットであったことは確かでした。
書き忘れましたが、材も細材を隙間なく縦に入れるという妙なセットでした。
材を針金で巻いて大きな材に見立てる方法がありますが、
デカいメスは確かにこういう方法では良く産みました。
そういうことを、ケース一体で行うイメージなのではないかなぁと思いました。


では、我が家のセットですが・・・



【セットについて】
1.材について
・材は、直径8㎝から10㎝程度の普通のものを使用
※私は、誰でも買えるような普通のお店から、普通の材を買っています
  以前のような高額な材は使っておらず、材については、
  1本250円~400円をかけています。
・材はコバエシャッターに水を張り、漬け、普通に加水してます
※以前は、カルキを抜いたりだとか、
  ブラックウォーターにしたりだとかやっていましたが、
  今は、水道水を直で入れて直でつけています
・材は、1日から1日半水没した状態にしています
・必ず陰干しをするようにしています
 1日漬けた場合は1日、1日半漬けた場合は2日陰干しをしています
・陰干しをしてから、皮をキレイに剝き、セットに入れています

2.ケースについて
・コバエシャッター中かコバエシャッター大をつかっています
・コバエシャッター大⇒3本  、コバエシャッター中⇒2本
 と、ケースに合わせて材の本数を変えています
・気にすること
 材と材の間隔を非常に気にしています。
 メスが、材と材の間にもぐれないような場合は材の本数を減らし、
 材と材の間隔が一定あるようにしています。

3.マットについて
・マットは、発酵が進んでいないものを使っています
・場合によっては、クヌギを粉砕しただけのものを使います
・発酵マットの場合は、暫く乾燥させ、水分を飛ばしてから使っています
・パッサパサのマットにしています

4.セットの組み方
①まず、ケースの下から3㎝程度、ガッチガチにマットを固めて詰めています
 ケース下に雑誌を強いて詰めないと、ケースが割れます
 そのくらい固く強固に詰めています

②その上に、マットを2㎝程度ふんわりと乗っけるだけ、
 という感覚で置いています

③そのふんわりと敷いたマットの上に材を転がします

④材の周りにマットを流し込んでいきます

⑤材はVの字に並ぶようにし、平行には並べません、
 切断面に産ませるためです。
 また、材の切断面は、マットを擦り込み、
 カビが生えにくいようにしています

⑥材の角の部分に、湿らせたマットを詰め込み、
 マットが材の角とかみ合い、材が揺らがないようにします。

⑦ゼリーを、ケースの4隅と、材の間に置きますが、
 ゼリーも材と材の間、材とケースの壁の間に噛ませるようにし、
 材が揺らがないようにすることに細心の注意を払います

⑧指か、ペンなどで、材の両脇に、
 ”メスがもぐった跡”のような空洞を作ります。
 メスがマットを掘らなくても、材の下に潜り込めるように、
 あらかじめマットを掘ってあげる印象です。




このような感じで、セットを組んでいます。
セットを組んで、3日目にはカビが生え、
4日目にはカビで覆われ、
5日目からカビが消滅し始め、
1週間で完全にカビが無くなる印象です。

ゼリーは1週間に1回全交換しますが、
それ以外の期間はケースに触らず、
削っているかの確認もせず、
ケースの近くに寄りもしません。

試し割も、本命については絶対にやりません。
今期オークションに交配済みのメスを出品しました。
この際、オスの種があるのかという質問を頂きました。
割ろうと思いましたが、やはりやめました。
それほど、試し割は私にとっては致命的です。
譲渡が確定している場合や、よっぽど盛り上がっているときは、
たまに試し割もやりますが・・・・
ネガティブな印象しかありません。

メスは絶対に3週間未満で抜くようにしています。
私の場合は、2週間でメスを確実に抜いています。
今年は、平均10日でメスを抜きました。
齧りが早いものは、1週間で抜きます。
メスが、幼虫を思った以上に早く食い、
幼虫を食いながら次の卵を産むようであるからです。

どうせお金をかけるのですから、産む・採れることにお金をかけるようにしています。
従って、齧りが良ければ1週間でメスを取り出してしまい、
さっさと次のセットに入れてしまうということをしています。

このように、我が家の採卵法には、何も新しいことは無いのかもしれません。
面白いことに、発酵をほぼしていないマットを上記のように組むと、
相当の数がマットから出てきます。どうも、ガチガチに詰めたマットも、
材の一部であると感じているようです。

即ち、私がセットを組むときにイメージしていることはあり、
それは、
言語化するならば、
先述のとおり、
材に産ませるということではなく、セットに産ませるという感覚です。

セット全体を材に見立てて、固い部分、柔らかい部分、水分を考えます。
メスが産む材と同じ水分を、マットが含んでいるように考えています。
メスが産む材の質と、マットの質が近いように意識しています。

それ以外は、ちゃんと加水し、ちゃんと陰干しし、ちゃんと皮を剝き、
材が揺れないようにし、ケースに触らないようにする、
暗いところに置く、どれも、
オオクワガタの飼育法が見つかったころからの、
誰でも知っているような教科書通りのことを、
過剰に神経質に徹底する
ようにしています。

さて、この方法が正解であるかについては、正直分からず・・・・
今後、どこかで凄い苦労をするんだろうなとは思っておりますが・・・・
長文、面白く読んで頂ければ、嬉しいなぁ、と思います。
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我が家の採卵法-予告

2018.08.05 (Sun)
3回連続で、平均割り出し数を1セット当たり20頭以上、
メインラインのメスからの1♀平均産卵数40を超えたため、
そろそろこの方法を記録しても良いものかと、
2014年度の採卵から続けている採卵法を、
ブログに記録しようと思います。

今日は急に体調を崩したので、
一日寝ていました、が、すぐに回復してきました。
このところ、8時から23時近くまで仕事に行っているので、
中々思うように更新が出来ませんが・・・・
近いうちに更新しようと思っています。

ホペイに対しての熱は上がっており、
考えていることも沢山あります。
どうせ、考えていることは、
1週間後、2週間後にはまた変わっているのでしょうが、
どんな移ろいを自分がしたのかについても、
記録を続けていきたいものです。



アウト交配法②

2018.07.28 (Sat)
顎についてはもちろんシルエット以外にも着眼し、親選別をしていきます。即ち、この話題で述べる親虫とは品評会等で高評価を得る虫というよりは、「高評価を得る虫を出す可能性を持った親虫の要素として私が着眼しているもの」というように幅を絞っていきたいと思います。今回は、顎先のかみ合わせについて言及していきたいと思います。

私は、顎先のかみ合わせに約10年前から着眼し選別を重ねてきており、2015年に更にきっかけを得て、顎先のかみ合わせについてはそれ以来更に重要視するようになっています。顎先が入るとか、そういうことではなく、顎先が合うかどうかです。アウト交配でオス親を選別する際は、先に述べたシルエットの相性も良く考えるようにはしていますが、何よりも優先しているのは、実は顎先のかみ合わせかもしれません。

顎ずれについては、顎幅の測り方以上に個人差が激しいと感じます。成虫を購入する際に、「これは顎ずれがあります」と記載があるものには大抵大きな、1mmから2mm程のずれがあるものですが、顎ずれ有りと記載されていなくても、私にとっては顎ずれ個体という認識のことが多々あります。先日もある種を遊びの為に購入し、期待が大きかったため「顎ずれじゃねーか」と思ったものですが、冷静に考えてみると、「ものすごく極わずかな顎先ズレなので、これは別に顎ずれ品ではないなぁ」とも思いました。私が「顎ずれ」と思っている個体達の内の50%は、一般的には気にされていない水準のグレードダウンのようです。雑な表現をすれば、私の「これは顎ずれだな」という個体の半分は、「ド完品です」と出品したりしてもクレームを貰わないものだと感じることが有ります。そういうことはしませんが・・・・少なくとも、私は顎先の合わさりについては、過剰に敏感な飼育者であるようです。それに比例するように顎先のかみ合わせについては厳しく親選別をするようにしています。

ず~っと昔、無血統兵庫県川西市産のみをブリードしていた頃は、顎先のズレなどという概念そのものを持ち合わせていませんでした。その後、ホペイに徐々に足を突っ込みだしましたが、江西省の複数産地を育てていた頃も顎先については無頓着でした。最初に顎先の合わさりを気にし始めたのは、福建省順昌73Cを導入した時です。導入個体は75mm、頭27.3mm、顎6.1mmと当時では極太であり、綺麗な円弧を描く顎が特徴的な迫力重量級個体でした。その個体の画像が残っていないのが残念です。憧れの順昌を初めて購入した1頭でした。成虫については、大きさ・太さだけでなく、その均整の取れたフォルムに満足でした。当時の私にとっては、親としては”ほぼ完ぺき”という感覚を持たせてくれる個体でした。しかし、完璧という言葉を使うには”ほぼ”が気になるところです。どうにも、微妙に残念なところがあり、それが顎先の合わさりでした。恐らく、0.1mm程度の顎先のズレであり、顎先がビタッと合わさらないだけで、ずれているのかというと、自然のものはそういうものでしょうと言っても全く不自然ではない微細なズレでした。そういう、顎先のかみ合わせの悪いものが国産:兵庫県川西市産からは出なかったため、概念として持っていなかったようでした。

その順昌の親オスを手にしながら、これから次世代を採り、同じような形を作り、顎先がビタッと重なればそれこそ本当に完璧なのではないかという夢を持って繁殖に当たりました。国産兵庫県川西市産では顎先がズレた個体はいなかったのですから。ところが、次世代においても、顎先がびみょ~~~~~にずれる。蛹の段階では、ビタッと重なっており、蛹の段階でずれている個体はゼロでした。羽化し、頭を持ち上げるまでに顎を重ねている間があります。この間は、顎は交差しており、必ずどちらかが上になるようになっています。その結果、上に乗った顎が上に、下にあった顎が下に本当にコンマ1mmのレベルでずれるのです。特に、その順昌系統は、顎先が針のようにとがるため、薄く、かみ合わせが微妙に悪くなったのです。

そういう個体群の中でも、顎先をビタッと合わせてきたものが1頭いました。これが、更に次世代の親になった訳ですが、その購入から1代目の顎先ビタリで仕上がった個体のカッコ良さ、与えてくれる所有感、満足度はとてつもないものがありました。つまり、私は、良い個体を出す云々の前に、顎先がビタッと重なると、顎が完全左右対称になり、美しく見えることから顎先の合わさりに拘り出すようになりました。

さて、我が家の順昌、TP:Eは顎の先端やエッジが鋭い個体が多く、中々顎先がビタリになることはありませんでした。ですから、まず蛹の時の顎先修正は正確に行うようにしており、のみならず、羽化後に2段構成で顎先を合わせるようにしていました。まず、羽化直後、まだ顎が下を向いている段階で、どちらの顎がどちらになっているかをボトルにメモするようにしていました。「左が上」なんて書いておいて、今度その個体が頭を持ち上げるタイミングで、顎の乗っかりを逆にしてあげる訳です。左が上と書いた個体なら、右が上になるように組み替えて上げる。更に、その後成虫の顎基部が色づきだしたころから顎先をバンドエイドで固定し、顎先が完全ビタリになるように仕上げていました。この顎先の仕上げの手間と難しさは、正直蛹化の補助と同等に難しく繊細な作業です。が、ちゃんと行ってあげると、気に入った個体が更にワンランク上に見える仕上がりの良さになります。

その顎先の調整を、今年は行っていません。何故なら・・・・この顎先への細かい拘りが、実は血統を磨き上げるうえでも効果的であったのではないかと感じ始めたからです。顎先の修正を行いながら、「虫って右利きや、左利きがあるのかな?」なんて思ったことが多々ありました。何度も顎を見ながら、左右どちらが上にくるか分からないような左右対称な蛹でも、右が上であることが多い系統があったり、左が上であることが多い系統があったりします。顎については、もしかしたら肉眼では見えないレベルでのずれが蛹の時にあったのかもしれません。顎の太さが違い、重さがちがったのかもしれません。が、もう一つ気になるのは今回の話題ではありませんが、内翅についても同様のことが言えるということです。内翅も、伸びながら、上に重なるかが決まってきます。顎の先端のズレは、そういう顎の”癖”を良くも悪くも反映しているのではないか、と思い始めました。

さて、確信を持ち始めたのは2015年、TRSという血統との出会いです。TRSという血統には、本家から頂いたものにおいては顎先のかみ合わせ悪いものは見ませんでした。また、TRSをアウト交配した我が家の個体群についても、顎先がわずかにズレたものは出ず、顎先がビタッと合わさるかみ合わせの良いものばかりが出てきました。今まで行っていた面倒な修正作業をしないでも、顎先がビタッと合わさってくれます。また、このTRSのアウト交配においては、顎がバカっと開いた蛹も出てきました。顎がバカっと開いてしまっても、なんと顎のかみ合わせはビタリとしたものでしあがってきました。特段太くなりやすかったTRSですが、不全が出なかったのにはこのような背景があるようです。まず、これが2015年に得たきっかけで、顎先が合わさりやすい血は間違いなく存在する、と感じた訳です。

つまり、今年羽化後の顎先の微調整を行っていないのは、
その個体の持つ力だけで、どれだけ均等性が成されているのかを、
確認したいという気持ちになったからでした。

TRS50蛹時
IMG_070318.jpg
より、蛹を見れるようになったと感じる今年度に、
より厳しい目で見ても、完璧な仕上がりの顎開き蛹です。
エリトラが、きちんと体を巻いており、
顎が均等に開いたことにより、
中脚が顎の間に間に両方綺麗に入り込み、外翅も圧迫されていません。


さて、更に確信を持たせてくれたのが、2017年度羽化のGX50-Gです。このGX50-Gについては、兎に角蛹が左右対称のド完品で仕上がってくるのが特徴でした。顎幅が6.7mmを超えてくるクラスについても、左右の非対称性や、顎先の離れもありませんでした。顎先が離れた蛹は、蛹の迫力はあるのですが、羽化すると顎幅数値は期待よりやや細くなるように感じます。顎先の離れが小さいほど、太い蛹が太い成虫で仕上がってくるように思います。今年2018年度においても、特級の顎の太さを持った蛹については様々な補助をしています。が、2017年度のGX50-Gについては、蛹の補助をしたものは0頭でした。同様の顎幅数値を出してきたラインで、昨年はGX48A-KWというラインがありましたが、これは顎垂れが結構起こりました。GX50-Gの最上個体の蛹については、蛹化に立ち合えたのですが、その変化の面白さに唸りました。

まず、幼虫の頭部が割れ、蛹の頭が出てき、顎が抜け、皮が全部脱げるまでは他の系統群と同じような変化をします。しかし、そこからが大きく異なっておりました。蛹の腹部がぎゅっと縮まり、体液が頭部に寄り、頭や顎が膨らみ始めるときに、顎がやたら上方を向いて膨らんでいくのです。そのうち、膨らんだ顎が時間をかけて、下方に落ちていき、普通の蛹と同じような形になります。また、蛹の膨らみ方についても他の系統群とかなり異なった変化をしているようでした。他の系統については、どんどん各部が太くなりながら膨らんでいくような変化でしたが、GX0-Gについては、膨らむ前に蛹の形ができるという印象でした。蛹の翅や足がきちんとしあがってから、急速に顎が膨らんでいくという変化でした。これがどのようなメリットを持っているのかについては今年まで分かりませんでしたが、少なからずこういう変化が蛹をより変形の少ない形に仕上げ羽化率や良形率を上げるような気はしました。

決定打は今年度、2018年度でした。今年、顎が太い個体が多く出ましたが、結果、顎が太い故の弊害についてもより深く学ぶ事が出来ました。特に、なぜ極太はそんなにも羽パカになりやすいのかについては、一定の仮説を持つ事が出来ました。蛹の顎の重さがネックなようです。蛹の顎が太いと、厚みも相当であるため、顎が垂れ下がります。これが、中脚を下方に圧迫します。結果、中脚に密着している外翅が伸び切れず、仕方なく横に広がるようになります。ここまでいくと、もう完品羽化に支障が出てきます。こういう外翅の膨らみを持った蛹は、他者の極太についても当てはまるのではないかとネットを徘徊し極太の蛹を見まくりました。結果、極太の蛹は高確率で厚い顎が外翅を圧迫し、羽が横に膨らんでしまっているものが多く見られました。オオヒラタについても同様で、分厚い顎が外翅を膨らませてしまう例が見られました。今年は、外翅が圧迫されても大丈夫なように、蛹化補助を多く行いました。結果、放置でも7mm中盤までが完品で仕上がってきています。ただし、こういうことをしなくても完品で仕上がってきているものがおります。

それらの蛹化の様子が、羽化した後に顎先をしっかりと合わせてくる個体達と繋がり、なるほどそういうことかというところに至っています。超極太の蛹になっても、補助無しで楽々羽化してくる個体達の蛹は、以下のような特徴を持っていました。

① 顎が膨らむ前に体が膨らむ(GX48A-KC)
② 顎が上方に向かって立ち上がるように膨らむ(GX48A-KC)
③ 顎が左右完全対称に開く(GX50-X、GX50-V)
④ 顎先がくっついてから膨らむ(GX48A-KC)
⑤ 顎の太さに左右の差がほとんどない(GX50-X、GX50-V)
⑥ 顎の厚みに左右の差がほとんどない(GX50-X、GX50-V)

TRSもそうでしたが、顎が開いても、顎のかみ合わせがばっちりな成虫が羽化してきた訳ですが、顎の開き方は左右完全に対象でした。どちらかが垂れているとか、そういうことが有りませんでした。GX50-G、GX50-V、GX50-Xには、全て同じオス親を使用しているのですが、この♂親の顎先のかみ合わせも完全にビタリでした。

上記顎①から⑤につなげて考えるに、
オス親の顎先のかみ合わせが良いものについては、
変態時の様子観察をしなかったとしても、
以下のような強い変化を予測できそうです。

何故顎先がビタリとあわさっているかというと・・・・
① 蛹の顎が後から膨らむことにより体の歪みが生じなかった
② 顎が上方に立ちあがるように伸びたことにより体幹に悪影響が無かった
③ 顎が左右対称に開いたことにより体幹に不均等な力がかからなかった
④ 顎先がくっついてから膨らんだことにより、エリトラが圧迫されなかった
⑤ 顎の太さに左右の不均等性が無かった
⑥ 顎の厚みに差が無く、左右に不均等な圧力がかからなかった

さて、2017年度、高い完品率について、「蛹のバランスを整えたからではないか」という言葉を頂きました。これは結構深い指摘であり、シンプルに人工蛹室で管理をしきったという表層的な見解にとどまらない指摘でした。人工蛹室に移し、横にティッシュを挟み人工蛹室の左右のバランスを蛹に合わせ、前蛹を完全水平垂直にして蛹化させたことにより、完品率が高かったのではないかという指摘でした。今期も、そのような処置を行いましたが、やはり完品率は高いです。が、今回第2弾とさせていただいてる「アウト交配法」については、そういう処置を行う必要性が少ない個体がいるとしたらという勘店をもって執筆していることについてはブレたくないと思います。即ち、上記人為的に行っていた「蛹にかかる圧力のバランスの均等性」を、初めから個体の強みとして持っているものがいるのではないか、というのが今回の記事の趣旨です。そういう、蛹化力の高いものは、蛹の左右均等性が高いので、それを成虫の仕上がりから読み取れるのではないか、特に長く伸びた体の一部の先端である顎先がビタッとかみ合わさっているものは、そういう均等性を持っている個体である確率が高いのではないか、ということが今回の記事の趣旨です。


思い返してみれば、おススメ頂いた上級ホペイについて、
「この個体って、顎先、閉じたとき、ぴったり合わさりますか?」
「で、この個体の兄弟たちって、顎先合わさってますか?」
「で、その個体達って、放置で羽化させても顎先合わさってますか?」
「ほうほう、で、このラインの蛹って顎先開きやすいですか?」

ここまでストイックに質問をしていたりします。
自分で振り返ってみて、ヤバいな、と思います(爆)

「この個体って、顎幅、最短で何ミリですか?」
「で、この個体の兄弟たちって、顎太いの多いですか?」
「で、その個体達って、放置で羽化させても極太完品で出てますか?」
「ほうほう、で、このラインの極太率はどれほどですか?」

なんていう、ホペイの系統についての質問有る有る並に、
聞いている・・・・ということに、今日この記事を書きながら気づきました。

さて、我が家には現在、8頭程度の顎幅7mmクラスを来年のストックとして確保していますが・・・・・この中で、6頭が顎先をビタリと合わせてきています。極太を狙われている方であれば、7という数値よりも、6.7mm超えで、顎先がビタリとかみ合わさっていることの難しさをご理解くださる・・・・のではないか・・・・と思っています。

筆末にはなりますが、顎の細いものは顎先を簡単に合わせてくるので・・・・そういう強みがあると識別できるのは、比率にもよりますが、とりあえずサイズを問わず、顎幅6.5mmを超えてくるところからかな、と思っています。そんなに簡単に極太で仕上がりの良いものは手に入らないので、私は、顎ずれに妥協するより、顎先の合わさりを取るようにしています。

アウト交配法①

2018.07.23 (Mon)
そういえば、去年、2018年度の交配が上手くいけば、アウトの交配法を紹介する予定でした。アウトの交配においては、物凄く様々な要素を考えて交配する為、全てを書ききれませんので、好評であれば続編を、不評であれば、氷山の一角だけお見せして終わろうと思っています。文字だけのブログになりますので、他者の飼育環境や観点に興味があるコアブリーダーの方なんかには一定興味を持って見て頂けるかもしれませんが、成虫を沢山見たい方にとっては退屈な記事だと思います。また、全てを記録すると恐ろしく長い記事になってしまうので、湿度や温度や添加や菌糸の粒子の荒さ等細か~い点には触れない予定です。とりあえず、再現性が高いものをご紹介してみたいと思います。

私が交配で意識をする大分類的項目は、分かりやすいところであれば、顎の形状、オス成虫の平均的サイズ、縦横比率、肌質、縦幅等に絞ることができるものと思っています。細かいところでアウトで気になる要素は、100項目以上あるでしょうから、全てについて言及していくには2年はかかるんじゃないかと大袈裟ではなく思ってしまう程です。また、そういうのを無根拠な感覚で選ぶ場合ものあるので、そもそもこの手の話は正解が無いものであるとも思っています。ただ、そう言ってしまえばそこまでの話なので、出来る限り分類は簡素化し、一定結果を出した見解について記録を残してみようと思います。

今回は、顎の形状に焦点を絞り、現在の見解を自己満足的に残してみようと思います。顎の形状については、私は、狙いたい形状を使わないことが多いです。それよりも、顎の形状がマッチするかどうかという観点を持って組み合わせを作っています。丸顎と丸顎や、ストレートロングとストレートロングを掛けて、同方向性を狙いながらにして丸くなかったりストレートで無かったりする個体が出てくる率は結構下がってきます。丸顎と極太ストレートを交配した場合は次世代は本当にどうなるか分からないという感覚があります。極太と湾曲を交配し、極太湾曲を出したいという気持ちには大変共感できるのですが、少なくとも私のところではそのような交配において上手くいったことは稀です。それよりも、似たような顎シルエットを交配すると、いい所取りが出来ることが多いという印象です。

ちなみに、数値化すると、去年のアウトによるアタリラインの率は65%程度、今期のアウトにおける成功率は正確に80%です。では、似たような顎とはいったいどういうことなのか。現在私の中で脳内言語化できている範疇で表現をするならば、影絵にしたときの顎のシルエットが似ているかどうかということになりそうです。顎の内歯の形状や、うねり、水かきの発達、厚みなどは勿論気にして、親の組み合わせ選別を行いますが、それよりも、一番気にしていることは何かと問われれば顎のシルエットになりそうです。顎のシルエットについては、ほぼ完全に合致する程に拘って交配を組むようにしています。その代わり、内歯の体積や向き、顎の中盤の太さや面積、厚みについては先ずは考えないようにしています。

私は、アウトでは凄い個体を狙うよりも前に、外さない組み合わせという狙い方をします。その中で、超爆発を狙うことがありますが、それは基本的にこの2年は外しています。では、超爆発を狙わなければよいではないかということになるんですが、まぁ確かに損得で行けばそうなんでしょうが、そこを狙ってしまうのがブリーダーとしての病気なところなので、これはある種の不可抗力であると思い、この賭けにでる性分については一定諦めているところがあります。賭けは行いますが、固く抑えたい時に付いては、このように、顎のシルエット、特に外縁の形状が同方向性であるもの同士を掛けるようにしています。

楽しい夢いっぱいな交配は思いきりワクワクさせてくれるものですが、翌年のハズレ個体連発の現実には向かい合いたくないので、私は実は毎年の交配の8割は泥臭く地道な交配をしています。このAとこのBを足したらすげぇだろうなぁ、そういう感覚はかなりの昔に夢が多数粉砕したことにより消失しました。それよりも、この顎とこの顎の形状交配であれば、伸びしろが更に出来るのではないだろうか、そういう交配を行っています。つまり、一定狙っている形はあれど、こういう形が出るはず!と思ってブリードをしていることは振り返ってみればほとんど無いということになります。つまり、足し算的に形状を考えていないということと、数値を狙って叩き出すよりも、伸びしろを次世代で更に大きくするようなことを意識しているのかもしれません。

さて、この顎の相性について、まず一番信用できるのはオス親です。ですから、オス親については特に細かいことを気にしないで選出することにしています。別にF1でバラけが激しいラインであっても、気に入った形状であれば躊躇なく使うという方法を取っています。非常に神経をすり減らすのはメス親の方です。

私は、メスの選定に3時間程度を掛けることは珍しくありません。ただし、それはインラインでのメスの選別における取り組みです。アウトライでのメス選別については、インラインとは全く異なる観点で選んでいます。というのは、先に述べましたが、私は顎のみに照準を絞った場合、顎のシルエットが似ているもの同士を掛けたいと考えます。ところが、メスはオスとあまりにも異なる形をしているので、そのメスが似たシルエットの顎系質を有しているのかが大変分かりにくいものです。ですから、メスについては血の濃さを最優先してアウト交配をしています。いや、この表現は実は100%感覚に沿っていないように感じます。累代が浅くても、兄弟のオスの顎の形状の方向性がどれも似ている場合は、そういうメスを使うことが有ります。つまり、メスについては、このメスからは極太がでるかも!とか、デカいのが出るかも!ではなく、このメスは太いのを出すのかデカいのが出すのかは分からないけれど、でも、こういう顎形状の子どもはまず産むだろう、という形状の安定性を優先して選別しています。さて、一度平たくまとめてみたいと思います。

【アウトライン-顎編】
(1)気に入ったオス親を選出する
(2)そのオス親の顎のシルエットをよく観察する
(3)同様の顎のシルエットを多産しているラインのメスを導入する

つまり、例えば、円形の丸顎を狙いたいとすると・・・・・
(1)おお、この円形の顎、凄く美しい!なんていうオスを選別
(2)曲線部分が多いのか、角張って丸く見えるのか、そういうのを、
  外縁のシルエットに注目し、こういうシルエットの顎!と理解する
(3)そういう形状を多数出していそうなラインのメスを探す

こんな手順になっています。
上の例でいけば、従って、丸くてデカくて太い!とかいう欲張りを考えることはまず無くて・・・・それよりも、この雄と、このラインのメスをかけたのだから、太くならないかもしれないし、頭もでかくならないかもしれない、ディンプルもでるかもしれない、羽パカもでるかもしれない、と様々なネガティブ要素、失敗の想定をしても・・・・・”でも、顎が丸いのは絶対に出るだろう、どちらの血が出ても、良血統のネガティブ因子が発現しても顎が丸いのは出るだろう”という突き詰め方でアウトの親オス・親メスの選出を行っています。

ただし、これだけでは実に保守的なブリードをすることになり、流石につまらなさが極まってきます。そこで、私は、顎の伸びしろに注目するようにしています。顎の伸びしろというのも、これまた抽象的な表現しかできないのですが、私は、逆台形を狙ったり、ストレート包丁タイプを狙ったり、丸顎を狙ったりするときに、実は先述した内容と矛盾する用ですが、そのような形のオスを使わないことがこのところ増えてきています。最近は、丸くもなれるし、ストレートにもなれるし、角顎にもなれる・・・・そういう、中庸な顎形状のオスを親に使うことが増えてきているように思います。そのような何にでも化けられそうな顎を使うと、顎がパワーアップしやすいように感じます。恐らく、太く出たときに、どのような形にも転じられるために、蛹にかかる負荷も少ないのではないかと思われます。

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湾曲タイプに見えます。

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しかし、顎開きにすると、実は顎の幹の部分は、
かなりストレートで有ることが分かります。

この個体は、別に太く見えません。
これは、顎幅は最短で6.7mmでした。
ちなみに、頭は29.0mmでした。

GX50-Gの親であり、GX50-Vの親であり、GX50-Xの親です。この個体には、もちろん顎以外の要素もあり、それについて、今度、暇が出来れば書いてみようと思っているのですが・・・・如何にでも転じられる顎を使うことで、顎の形状の変化の柔軟性を活かしたり、顎の幅の数値を次世代でパワーアップさせるということを最近は考えるようにしています。少なくとも、今この画像を見ながら考えても、この個体を親にして、丸顎が出るイメージも湧くし、ストレートバズーカ顎が出るイメージも持てる、角顎が出るイメージも持て、長い顎がでるかもしれないし、短歯もでそうだと思えてしまうのです。そういう、どれを言われても、まぁ、出るんじゃない?なんて言えてしまうような絶妙な形状をした親・・・これを期待の出来るメスに掛けるというのが最近のアウト交配法の一つでした。

とはいえ、ここまで頑張って書いておいて、まだ顎のシルエットにしか言及出来ていないのが恐ろしいところです。流石に長文で疲れたので、続きはもしも気が向いたら。。

蛹時の外翅開きのオペ

2018.05.11 (Fri)
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どうです?この個体。
さて、顎を普通見ると思いますが、
ここでエリトラに真っ先に注目される方もいると思っています。

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そう、この個体はホペイに限らず極太の個体が抱える問題、
外翅の開きが顕著に生じてしまった個体なのです。
外翅が後ろ足を両方巻いてしまっています。

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あまり立体感が伝わりにくいカメラなんですが、
外翅は折れ曲がってしまっています。
このレベルの蛹を見ると、
ああ、ダメだな・・・と思ってしまいます。

そこをなんとかできないか。
今年の大きなテーマです。

結局はホペイは私にとって自己満足です。
この実験も、自分で安心したいがために今期欠かせないものでした。
2頭の超絶スペックながら、蛹化に立ち合えず、
このように翅が折れ曲がったものがおります。
共に顎7mm、頭部30mmの可能性があるものです。
腹部肥大は無く、翅さえ何とかなれば、
モンスター所有の満足感を感じられそうな個体です。

不安でなりません。
極太巨大個体になってくると、或は極太極厚になってくると、
顎の重みが中脚を圧しその中脚がエリトラを圧迫し、
こうなります。

こうなってしまったら、どうしようもないものなのか。
そうであれば、諦めもつきます。
こうなっても、何とかする術はあるのか。
とりあえず、その不透明感が気持ち悪く、
もやもやしながら凄い蛹を眺めたくない!
その2頭はこれほどひどくはありません。
つまり、これを何とか出来れば、あれも何とかできるかも!!
と思えるわけです。

そこで、この個体の羽化に完全に立ち合い、
過去の経験を総動員しフルサポートを行ってみました。

ここから先、修正の記事になります。
従って、非常にグロテスクな画像を連発します。
苦手な方は絶対にスクロールして見ないでくださいね。
私は平気ですが、
食事中の方も後にした方がいいかもしれません。







































































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まず、この画像の赤丸にご注目ください。

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続いてこちら、赤丸にご注目ください。
後ろ足が少し出ていると思います。
同個体の画像ですが・・・この色づき排水をかなり行った段階で、
今年は新しい試みを行ってみました。
それは、この段階でエリトラを再修正する、ということです。
かなり固く、完全にはしゅうせいできませんので、
エリトラの凸凹や、折れ曲がりをやや緩和してあげる程度に手を加えました。

さて、
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羽化が始まりました。

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中脚があった部分がくぼんでしまっています。

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ロケットのエンジンのようにエリトラと胴体の間に隙間があります。
そして、この状態で収縮運動をしていましたが・・・・

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凄い隙間。

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この状態で背中が割れた状態で先に進まなくなりました。
このまま放置すると息絶えるので・・・
蘇生作業をするまえに、修正作業に早めに入りました。

なぜ、外翅が開いた個体は皮を脱げないことが有るのか、
それは、こういうことです。
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赤丸の所、外翅が、外側に開くことにより、
胸部と翅の間が詰まってしまい、皮を噛んでいる状態になります。
そうして、皮が動けなくなり・・・という仕組みです。
早速赤丸の部分を外したくなるものですが、まずは胸部から開いていきます。

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胸部を開いたら、青矢印の方向にエリトラ付近の皮を剥いでいきます。

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肩の皮が外れたら、蛹を上向きにして作業をします。
蛹はうつぶせで羽化をしますが、皮は腹側に移動していくように脱げています。
ここまでやったら、どうせエリトラを調整するので、
作業がやりやすいように仰向けにして手術を進めていきます。
まずは青い矢印のほうに顎や触覚にまとわりついた皮を剝いてしまいます。
口の所には管が通っているので、赤い矢印の方に力を加えるのはその後です。

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胸にもピタッと皮が付いているため、
赤い丸の中にひっかけるものを入れ、下方に引っ張るようにして皮を外していきます。

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仕上がりに影響するのは赤丸の羽です。
しかし、最初にはずすべきなのは青丸の脚の先端等に残る皮です。
この細かいものを外してしまい、作業をやりやすくしてから、
デリケートな部分の作業を行います。

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ここの呼吸管が最も長く、強く、しかし引っ張ると切れやすく、
体内に残すと死にやすい重要なものです。
ひっかけ、物凄い微力でゆっくりひっぱりながら抜きます。

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このように非常に長く、避けやすいので、
兎に角時間をかけてゆっくり抜きます。

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反対側も同様です。
糸にわずかにテンションがかかっている位が程よいです。
引っ張って抜く、というイメージとは違います。

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危なっかしい部分は取り除けていますので、本題のエリトラ修正に入ります。
ちなみに、まだ腹部の気門それぞれからは白い呼吸管が出ているので、
お尻の部分の皮は重力に任せておきます。引っ張って取り去りません。

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ここが大変重要で、この状態で暫く放置しておくと、
どちらかの内翅が下に、どちらかが上にいきます。
これをちゃんと重ねておかないと、外翅を修正しても、
中で内翅が氾濫します。

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赤い部分を真っ先にくっつけたくなりますが、
青い部分にエリトラの縁から力を掛けて寄せるようにしておきます。

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当然外翅が開いていたので、
外翅は湾曲して波打った形になってしまっています。

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皮は重力に任せておきます。

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皮は自然にぽたっと落ちましたので、エリトラ合わせに入りますが、
内翅を上から下方に押しこんでおく必要があります。
そうしないと、外翅が内翅を噛み、修正が困難になります。

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どうしてもうまく先端が合わさらない場合は、
赤い矢印の部分を1分くらい抑えてから、
再挑戦すると上手くいくことが多いです。

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お疲れさまでした。
肩はバキバキに凝って眩暈がします。

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この程度で抑えて置き、放置します。

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エリトラは皴しわですが、ちゃんと生存できるような形になりました。
パカってもいません。

さて、今回は成功でした。
外翅のガルウイング開きについては、
立ち会う事が出来れば何とかできるということが分かりました。
と言えるのでしょうか。

いえいえ、
残念ながらまだそこまで確証は得られていません。

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修正こそ上手くいったもの、内翅には細かな水泡が出来ています。
これがこの個体特有のものなのか、
エリトラの湾曲形成によるものなのかが分かりません。
もし、次の手術でエリトラを直した個体でこのような水泡が見られなければ、
その時にはエリトラの外開きは修正できる!と言えそうです。

さて、朝になり個体がエリトラに外翅をしまおうとした際、
水ぶくれによりエリトラが割れてしまうんではないかという不安がありましたが、
特にそういうことも無く元気にしていました。

S70系
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ごつごつした仕上がりの顎です。

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顎の質感や仕上がり感がとても荒く、
それゆえに一層体積を感じさせてくれます。
顎厚がある個体はいいですね。

極太ホペイ
ノギスを当ててみて予想数値を見てみると、
70mmジャスト~71mm、顎幅6.8mm~、頭幅26mm程度、
という怪物でした。
顎幅率がエライことになっています。

とても元気で、変な事故が無ければ来期子を残してくれそうです。
限界突破個体の一つだと思います。



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